1. タマの気持ち…
タマの世界征服
 
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  1. タマの気持ち…
 
 
暖かい日差しが射し込む縁側。ふかふかの座布団に幸せそうにねぞべっている。あまりの気持ち良さに閉じた目が開かない。このまま夢の世界へと…

「私の座布団に寝ないで!」

いきなりふかふかの座布団を取り上げられた。

「にゃ~」

驚いてその場を移動しようとしたが、暖かい日差しが射し込む縁側から離れたくない。そんな時、座布団を取り上げられた猫は何と思うのだろう。

「タエちゃん取り上げなくてもいいのに。仕方ない、お父さんの匂いがするあの上着に寝よう。」

猫ならこんな感じだろうか。タマは子供の頃からタエちゃんの所に飼われている猫ではない。タエちゃんは二人目の飼い主。一人目の飼い主には良い思い出はなく、あげくの果てには木箱に詰められ捨てられたのだ。助けてくれたタエちゃんにはありがたいとは思っているものの、人間を心の底からは信じきれてはいない。

「ふわふわ感はあまりないけど、お父さんの上着もいいにゃ。」

冷たい玄関に敷かれた新聞の上に寝かされるよりは全然いいと思うタマだった。

「タマ~」

タエちゃんが嬉しそうにやってきた。ニコニコ笑いながらガサカザと持って来た袋から何か取り出した。寝ていタマを抱きかかえ、取り出した服に頭を通し、前足を通された。次には頭に何かかぶせられた。

「キャーかわいいタマ!ウサギちゃんになったのよ、似合う~」

何だこれは動きにくい。これも新手の嫌がらせ…

「ママ、見て見て、タマとっても似合うよ。」

取り出したデジカメでパチパチと撮りはじめた。逃げようとしたが服のせいで動きにくく、すぐに捕まりポーズを強要された。

「人間って何を考えているのだろう、猫の気持ちなんてわからないにゃ!」

タマは怒りが込み上げてきた。動きにくい服から解放されたあと、逃げるようにお気に入りの押入へ潜り込み考えた。

「このままでは自由がない、僕はまた不幸になってしまう。何とかしなくては…」

「タマ~ご飯よ。」

「にゃ~」

一目散に餌へと飛び付くタマだった。
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